
野立て太陽光発電とは?お得な売電方法とは?主なトラブルなども含めてわかりやすく解説
野立て太陽光発電は、空き地や遊休地などに設定されている太陽光設備のことで、土地を有効活用できる上に、屋根や屋上に設置するタイプのパネルと比べて面積が広く、発電量が多くなるというのが強みです。最近は郊外などで多く設置されていて、少しずつ数も増えています。投資や副収入として野立て太陽光発電を始める場合が多く見受けられますが、野立てではどのように売電するのでしょうか?ここではわかりやすく解説していきます。
- 野立て太陽光発電とは?
- FIT制度での売電
- FIT制度を使わない場合はどうするの?
- 非FITだとどうやって売電するの?どうするのがお得なの?
- 非FIT市場連動プランと固定買取プランはどちらがお得なの?
- トラブルが発生することもある?
- 1. 天候による損傷と劣化
- 2. パネルの反射による光害
- 3. 景観の破壊
野立て太陽光発電とは?
野立て太陽光発電とは、屋根や建物ではなく、空き地や遊休地などに設置されている太陽光設備のことを指します。広大なスペースを活用することで、大規模な太陽光発電システムを構築できるというのがメリット。
野立ての太陽光発電設備は、主に低圧、高圧、特別高圧(メガソーラー)の3種類に分かれています。出力は10kW以上で設計されているのが一般的。発電した電力は電力会社や契約している法人などに供給し、売電収入を得るというケースがほとんどですが、ご自宅や所有している建物で使うこと(自家消費)も可能です。

FIT制度での売電
野立て太陽光発電で電力会社に電力を売る(売電)場合は、20年間は固定買取価格制度(FIT制度)を適用することができます。「FIT制度」とは、一定期間(野立ての場合は20年)決められた単価で電力を買い取ることを国が保証している制度です。FIT制度は、もともと国内での再生可能エネルギーの供給量を増やすために、高価買取ができるよう国が開始した制度でした。しかし、その買取価格は2012年度は「40円(+税)/kWh」でしたが、2023年度になると「11円/kWh」となり、大幅に下落しています。
なお、FIT制度では、制度を利用したその年の買取価格で20年間買い取ってくれますので、利用者にとって毎年売電価格が下がるわけではありません。
しかし、再生可能エネルギーの需要が高まっていることや、電力市場での取引価格と比べて、FIT制度の買取価格が低くなる場合もあることから、最近ではFITを利用しない野立ても見受けられます。 また、10kW以上50kW未満の場合、FIT制度の認定基準は発電量の30%以上を自家消費することが条件となります。そうなると近隣のご自宅やご自身が保有しているビルなどで発電した電力を使うことになるため、制限がかなりかかります。こうした理由からもFIT制度をあえて使わないという野立てが増えています。
FIT制度を使わない場合はどうするの?
FIT制度を使わない場合、売電はどうなるのでしょうか?このような場合は、「非FIT」と呼ばれ、FIT制度の制限なしに電力会社などに電力を売ることができます。また、FIT制度で発電した電力は、再生可能エネルギーとして認められていませんが、非FITの電力は再生可能エネルギー100%とみなされます。これはFIT制度は国が補助しているため、再生可能エネルギーではないという考え方が背景にあります。
なぜ再生可能エネルギー100%が重要かというと、昨今CO2削減や脱炭素経営を目指す企業が多いことから、再生可能エネルギーへの需要が高まりつつあるためです。
非FITだとどうやって売電するの?どうするのがお得なの?
非FITの場合、電力会社に売電することが一般的です。しかし、非FIT向けの買取プランを提供している電力会社はあまり多くはなく、あまり認知もされていないことから探すのに少し苦労するかもしれません。また、多くの非FIT買取プランは「卒FIT」と呼ばれる、FIT制度適用期間が終了した対象者と同じプランになっています。こうした非FIT/卒FITプランは「固定買取型」であることがよくあります。「固定買取型」とはFIT制度と同じように「1kWhにつき●●円」といった決まった金額での買取になります。
しかし、発電した電力の価値は、電力市場での取引価格で決まります。需要が高まっている場合、市場の取引価格は高くなっており、「固定買取型」プランの価格よりも高くなっている可能性があります。
中にはこうした電力市場の取引価格と連動している「市場連動型」プランもあるので、比較検討してみるといいでしょう。
非FIT市場連動プランと固定買取プランはどちらがお得なの?
非FIT向けの市場連動プランはあまり多くはありません。そうした中で、太陽光電力の買取サービス「エネまかせ」は非FIT向けの買取をしている数少ないサービスです。「エネまかせ」の買取価格は、「JEPX」と呼ばれる、電力卸売市場の取引価格に連動しています。そのため、市場の需要が高まれば、買取価格も高くなります。
ここで気になるのは、固定買取型とどちらがお得なのか?という点。
2022年と2023年の東京電力エリア(関東エリア)で比較した場合、エネまかせのほうが最高値・最低値ともに高かったという結果が出ています。エリアやその他の条件によっても結果が異なりますが、非FITで高価買取を目指すのであれば、エネまかせも検討してみてください。

トラブルが発生することもある?
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野立て太陽光発電は、多くのメリットがありますが、時折トラブルが生じることもあります。土地活用や副収入が魅力的ですが、近隣住民とのトラブルや機器の故障、接続不具合による発電量低下などが発生することがあるため、定期的なチェックが必要です。
1. 天候による損傷と劣化
屋外に設置されている太陽光パネルは、悪天候による損傷や劣化が考えられます。特に農地などに設置した場合、周囲に草木が生い茂ることがあり、定期的なメンテナンスを怠ると近隣住民とのトラブルが発生する可能性があるため注意が必要です。
2. パネルの反射による光害
野立ての太陽光が並ぶエリアの周囲に住宅地がある場合、角度によってはパネルが発する光がまぶしいというクレームに繋がることもあります。よって、太陽光パネルを設置する際は、事前にシミュレーションを行ってから設置することが重要です。
3. 景観の破壊
景勝地などで発生しやすいトラブルは、太陽光パネル設置による景観の破壊です。小規模であれば影響は限定的ですが、中~大規模になると大きなトラブルが発生する可能性があります。そのため、近隣住民だけでなく、事前に自治体とも十分に相談してから計画を立てることが重要です。